メトロガール

あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?

ルド and クルシ|カルロス・キュアロン

メキシコ映画界を牽引する、キュアロン兄弟、ギレルモ・デル・トロ、アレハンドロ・ゴンザレス・イリャリトゥが制作に名を連ね、メキシコを代表する若手俳優ガエル・ガルシア・ベルナルディエゴ・ルナが主演。まさに、ここ10年くらいのメキシコ映画の一番華やかなところをぎゅっとして、おもいきり楽しんで作られたような印象を受ける。がっつり作った力作というよりは、いい加減に力が抜けて庶民的な視点でメキシコを描いているところにも好感が持てた。

バナナ農園で働く兄弟が、草サッカーに興じているところをスカウトされ、メキシコシティでプロチームに。選手として成功するも、兄はギャンブルと麻薬にのめりこみ、弟は歌手になる夢と恋人に入れあげてしまい……という他愛もない話なんだけども、何しろ楽しそう。兄「ルド(=タフな乱暴者)」を演じるディエゴ・ルナはここのところ多かった繊細な美青年の役どころとは対照的に、妙な髪型+ヒゲでおっさんっぽさを漂わせる。垂れ目と甘い雰囲気が印象的だったディエゴだけど、かなり幅広い役柄を演じ分けられそうで、彼は今後年を重ねるのがとても楽しみだなあ。

弟「クルシ(=まぬけな自惚れ屋)」を演じるガエル・ガルシア・ベルナルも、男前なのは変わらずも、Tシャツと短パンも似合っていて、洒落めかしている姿がきっちり「背伸びして決めている田舎者」っぽさを醸し出しているのは立派。ナチュラルな雰囲気のガエルはすごくかわいらしくて、彼の濃い風貌をあまり好まなかったわたしも、クルシのキュートさにはやられてしまった。そして、幼なじみの仲良しディエゴ&ガエルが、リラックスして本当の兄弟みたいにじゃれあって、思いあって、喧嘩するのは見ていて微笑ましいことこの上ない。

サッカーを人生に例え、人生の帰路では運命を象徴する兄弟によるPK対決。愛されるスポーツとしてのサッカーだけでなく、スポーツビジネスやマフィアといったメキシコの抱える裏社会部分のカリカチュアから、(実際社会問題になってるのかわからないけど)マルチ商法にはまる家族のエピソードなんかも、詰め込めるだけ詰め込んじゃった感は否めないものの、にぎやかで良かったと思う。メキシコでは大ヒットしたという、ダサダサな扮装でド演歌調にクルシが歌うチープトリックのカバー曲も、ばかばかしいんだけどなんか癖になる。

この映画は、前述の監督たちが合同で立ち上げた制作会社の第一作目。今後も続々新作が予定されているらしい。好きな監督ばかりなので、楽しみだなー。ガエルとディエゴの今後の活躍も楽しみです。英語で演じる彼らもいいけど、スペイン語でわめきちらしてるほうが、なんだかぐっとくるんだよね。