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メトロガール

あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?

月に囚われた男|ダンカン・ジョーンズ

せっかく映画の日が休日なので、通常料金だったら観に行かなかったであろう映画をはしごしてみた。で、朝一番に出かけたのは恵比寿。同じガーデンシネマで上映されている「ウディ・アレンの夢と犯罪」と悩んだのだけども、SFな気分なのでこちらを選んだ。デヴィッド・ボウイの息子の監督デビュー作。

月の裏側で、地球に送る燃料の採掘を行っている男サム。彼は、3年の任期で「ルナ産業」から送り込まれた宇宙飛行士である。基地で働く人間は彼ひとりで、相棒は人工知能を持つコンピューターのガーティ。孤独を感じながらも、植物を愛で、機械たちに名前を付け、故郷の街のミニチュア模型を作り、サムは愛する妻子の元へ帰れる日を待ち望んでいる。いよいよ任期満了まで2週間となったある日、作業中の事故で気を失ったサムは無事救助されるものの、周囲で異常な出来事が起こりはじめる。

ほとんど一人芝居でやりきったサム・ロックウェルの演技は見ごたえ十分。作品としても、古典的なSFにすがすがしいほど真っ正面から向かっていて、好感が持てた。設定も、基地や機材のデザインなんかも、未来の話なのにとても懐かしくて、それは子どもの頃に観た「古き良きSF映画」で描かれていた未来像だからなのだと思う。人工知能を搭載したお世話ロボットであるガーティも、白い筐体で、カメラとアームを持ち、小さなディスプレイに表示されるスマイルマークのバリエーションのようなイラストで感情が表されるというレトロっぽさ(ガーティのキャラがHAL9000のパロディであることは疑う余地もない)。でも、その単純化された感情表現や抑揚のない声色が、だんだんどうしようもなく情にあふれて見えてきてしまう。ガーティかわいいよ!

ストーリーはとても単純で、設定にしてもディテールはゆるゆる。そういうところ含めて、最近の作り込まれたSF映画とはまったく違う良さがあって楽しい映画でした。