メトロガール

あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?

ウルフマン|ジョー・ジョンストン

「狼男」のリメイクであることは観終わってから知った。映画の出来の善し悪しとは別の次元で本当に面白くて、終始笑いが止まらない映画だった。なんで全力でこんなちぐはぐなことをやってしまうんだろう。これは笑わせたくてやってるんだよね、という場面目白押し。

舞台は19世紀のイギリス。兄が行方不明になったとの知らせを受け、実家である古城に戻ってきた舞台俳優ローレンスを出迎えたのは、冷淡な父と、美しい兄の婚約者。しかし兄は惨殺体で見つかり、「人を無惨に食い殺す猛獣」の噂が流れはじめる。少し前に町外れにやってきたジプシーの飼う熊が怪しまれ、人々がジプシー集落を訪れたそのとき、謎の獣が現れ惨殺劇を繰り広げる。ローレンスは獣に噛まれながらも一命を取り留めるが、徐々に体に異変が……。

古城や森、町並みの映像はとても荘厳で美しく、アンソニー・ホプキンスベニチオ・デル・トロをはじめとするキャストは演技派揃い。だからこそ、「このキャストで普通のドラマ撮ったら、まっとうないい作品になってるよなー」という人材の無駄遣い感がひしひしと感じられ、贅沢なのかむなしいのかわからない気分になってくる。

まず、イギリスの古城に、プエルトリコ出身ラテン系濃い顔立ちのデルトロがきわめて似合わない。しかもシェイクスピアを得意とする有名舞台俳優だという設定。最初のうちはデルトロが映るだけで、「ローレンス」と呼ばれるだけで笑いがこみ上げてきてしかたなかった。しかもデルトロの父親がアンソニー・ホプキンス様である。奥さんがラテンっぽい女優さんだったので、なんとかそこでつじつまあわせようとしているのだろうけども、いくらなんでも無理がある。もうこの二点だけで面白くて仕方ないのに、狼男は狼というよりゴリラみたいな造形で、狼男デルトロと、ヒロインのシーンは、ほとんどキングコングみたいだった。

とはいえ、ジプシーキャンプでの惨殺シーンと、ローレンス最初の変身後のシーンは、ホラーとしてとても見ごたえがあって楽しかったし、なにより生身でアンソニー・ホプキンスとデル・トロが対峙するシーンは、さすがの迫力演技力! だからこそ、この演技者ふたりがなぜ狼男として向き合わねばならなかったのかという疑問は残るわけだけども(デル・トロが狼男大好きで企画にも参加していたそうなので、彼の夢だったということなのか)。この二人で、また別の、濃密な人間ドラマなんかを観てみたいなー。

今回のホプキンス爺様は、めちゃくちゃ強くて邪悪で本当に格好良かったので、「高貴で邪悪」という彼の得意どころを堪能したい方は十分満足できるのではないかと思います。興行的に成功しそうな気はまったくしないけど、わたしはとても楽しかったし、深夜テレビでやってたらすごく得した気分になる映画だと思う。首とか腕とか飛びまくるから地上派では無理だろうけど……。