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メトロガール

あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?

ことばとことば

春に異動した部署では、必要にかられていろいろな国のホームページを見たり、ニュースや文献を読んだりしている。オーダーがあればどんな国の資料だって作らなければいけない。マイナーな国だろうが、理解できない言語だろうが。ドイツ語、ロシア語、スペイン語、マレー語……、アフリカの某小国について資料を求められたときは気が遠くなったものの、実際調べてみると、その国は英語を公用語としていたので、ドイツや伊仏について調べるよりむしろ楽だった。フラッシュ使用でページごと機械翻訳にかけられないロシアのサイトに出会ったときは、目の前が真っ暗になったけれど、コピペや直接入力に頼り、膨大な時間はかかったものの何とかなった。

機械翻訳。わたしはもっぱらGoogle翻訳を使っている。あれはかなり優秀だと思う。大きいファイルだと嫌われちゃうけど。たまに力尽きたのか、ページ途中で翻訳やめちゃってるけど。でも、Google翻訳がなければ多分、わたしは今求められる仕事の半分もこなせない。

機械翻訳の面白いところは、理屈ではなく体で言葉の類似性を感じられることだと思う。わたしはもちろん日本語には不自由していない。英語は、ざっくり読むだけならまあ何とか。フランス語はアテネフランセの入門クラスで挫折したし、はるか昔に第二外国語だったドイツ語の成績はかろうじての「可」だった。あの頃から嫌いだったドイツ語と、毎日にらめっこしなければいけないなんて、何の因果だろう。

ドイツ語の文法はわからない。単語を辞書で引こうにも、(よくわからないけど)ドイツ語は表記上単語がやたらめったらくっついて長くなる(っぽい)ので、元の単語を知らなければ分割できず、辞書も引けない。だからこそ、丸ごと流し込める機械翻訳が役に立つというわけだ。もちろん日本語に訳したところで謎の文章が生成されるだけなので、英語で妥協する。周囲の人々も、見知らぬ言語はとりあえず、類似性のあってかつ自分がある程度理解できる言語に変換して、なんとか乗り切っているようだ。数カ国語を操る上司も「あれは伝言ゲームみたいなものだから、言語2つ噛ませると、もうだめ。意味変わっちゃう」と断言していた。

「日本語よりはまだましな訳が生成される」という理由だけで、どんな言葉もとりあえず英語に変換してみる。まったく体系の異なる言語だとお手上げだけれど、必要となる資料の8割はロマンス語かゲルマン語なので、最低限の意味は把握することができる。細かなニュアンスはさすがに怪しいけれど。

日々、伝言ゲームをちまちま解読するような不毛な作業に励んでいて、ひとつ不思議に思ったことがある。わたしはずっと、英語はゲルマン語だから、一番似ているのはドイツ語なのだと思っていた。でも、実際に機械翻訳を使ってドイツの資料を読む困難さと、メキシコの資料を読む困難さを比較すると、圧倒的にメキシコの方が楽なのだ。Google翻訳では、ドイツ語→英語より、スペイン語→英語の方が翻訳の精度が高い(気がする)。ウィキペディアによると、CIAによる言語別習得難易度区分においても、英語話者にとって習得が易しい言語としてロマンス語であるフランス語、スペイン語が挙げられているらしい。これも、わたしの体感と一致する。言葉って奥深い!