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メトロガール

あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?

ガラタ橋にて

旅のはなし

夕方7時過ぎだったか、同僚とガラタ橋のたもとでサバサンドを食べていた。ガラタ橋は、パトリス・ルコント『橋の上の娘』のラストシーンで、ヴァネッサ・パラディが投身自殺しようとした場所。でも、こうして見ると、橋の下には飲食店がずらりと並び、橋の上には釣り人がいっぱいで活気あふれている。もしここから身投げしようとすれば、あっという間に周囲の人間に取り抑えられてしまうだろう。


サバサンドは、海に浮かぶボートの上で作っている。ときおり激しく揺れるので、見ていて不安になるくらいだ。ひとつだけ買って「カットして」と頼んだところ、…店員2人がそれぞれサバサンドの両端を持って、真ん中をナイフでごりごりと、のこぎり引きの要領で切ってしまった。

焼きサバと生のタマネギ&レタスを柔らかいバゲットで挟んでいて、とてもおいしい(ただし、個人的には昨年ハンブルクで食べた「酢でしめた青魚サンド」の方がさっぱりしていて好みだった)。

食べ終わったのを見計らったかのように、小さな子どもを連れた女性が寄ってきて「写真を撮ってくれ」と言う。少し離れた場所にご主人がカメラを持っていたので、てっきり家族写真を撮って欲しいのだろうと、わたしは彼に手を伸ばした。ところが女性はわたしを制す。違う、一緒に写真に写って欲しいのだ、と。驚きつつも彼女を真ん中にわたしと同僚が座り、3人の子どもたちを抱き寄せる。かわいい。写真を撮り終えると、母親はお礼を言って、同僚とわたしの頬に熱烈なキスをした。5人家族は何度も振り返り、手を振りながら夕方の街に消えて行った。

妙なこともあるものだと思ったが、どうやらトルコでは日本人はよく写真を頼まれるらしい。珍しいわけでもないだろうに。