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メトロガール

あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?

こんな夢を見た

死んでしまった父は、死んでしまったにも関わらず姿かたちがあって(姿かたちがあるならば、たましいと生きている人間にはどんな違いがあるというのだろう)、普段どおりに家にいて、生活している。なのにある日「でも、ずっとこんなんじゃいけないよな」と言い出し、父は【ここを去る日】を決める。別に、いつまでだってここにいればいいのに、変なところで律儀なんだ。

一日一日が過ぎ、その日がいざやってくるとどうにも寂しいから、母は「もう少し先に延ばしても、いいんじゃない?」と引き止めるが、「そんなこと言っていたらきりがないよ」と、父は灰色がかった青色の軽自動車の運転席に乗り込んでしまった。

そこはなぜか、わたしたちの家ではなく、母方の祖父母の家だった。お隣には本家があって、父はいつもと同じように、一旦車を停める。「かねちゃんと、えっちゃんに挨拶しなきゃ」と言って窓から顔を出すと、もう二度と会えないことがわかっているからか、2人とも涙を流している。

車ごと行っちゃうのかな、と思いながらわたしはぼんやりと父を眺めることしかできない。すると姉が「車を持って帰る人がいなきゃね」と、父の隣、助手席にするりと乗り込む。そうか、パパはどこかで降りて、お姉ちゃんだけが車を持ってかえって来るんだな。そう思ってどうしようもなく寂しくなる。

目が覚めて、しばらく身動きできなかった。

あっという間に、もう、四十九日がやってくる。明日の朝わたしは飛行機に乗って帰るけれど、そこにはパパもおばあちゃんもいないということを、やはりちゃんとは理解できていないのだと思う。

寂しいな。