読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

メトロガール

あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?

街中に美術館が欲しかった、はずなんだけど(新・大分県立美術館を見てきました)

アートとかエンタメとか

f:id:asx:20150104093455j:plain

県立美術館が新たに移設されると聞いてずいぶん経ち、とうとう4月の開館を前に箱が完成したとのこと。12月には旅人こと中田英寿氏を招いての内覧会も行われたらしい。年末年始に帰省した際に周囲を偵察してきたところ、開放感があり、別府の特産品である「竹工芸」を取り入れつつ近年の坂茂建築設計の文化施設特有の空気も感じる美しい建物で、カメラ片手に周囲をぐるぐる歩き回った。

18歳まで暮らした大分では、頻繁に美術館に行くことはなかった。わたしの家から市の中心部を挟んで反対側にある芸術会館へは、自家用車で行くか、長い時間(と子どもには馬鹿にならない運賃)をかけてバスを乗り継がなければいけなかった。我が家にはアートを鑑賞する文化はなかったので、例えば学校の宿題で課された場合などに限り出かける程度だった。ちなみに市立美術館もあまり便利でない場所にある。

大人になってたまに展覧会に足を運ぶようになった。主に首都圏で、そして国内外の旅先で。地方でも人を呼べる美術館をがあることを知り、どうしてわたしの故郷にはそういう施設がないのだろうと思った。自分の体験から単純に「もっと便利な場所に美術館があって、もっといい展示を呼べばいいのに」と思っていた。だから、市中心部の複合文化施設に隣接・接続して新たな美術館ができると聞いたときには良いことだと感じた。

でも、実際に見に行ってみると、箱の美しさはともかく、あんなに待ち望んだ「市の中心部にある美術館」であることが、景観上はマイナスになっちゃったのかな、という感想を抱いた。

多くの地方都市がそうであるように大分も近年、市中心部の空洞化が激しい。なんせ駅前一等地からパルコが撤退した後に、商業施設でなく病院が建ってしまったほどだ。駅前アーケードは寂れ、地元に君臨する「トキハデパート」も、明野(トリニータのホームである大銀ドームに隣接する「パークプレイス」)や稙田(トキハが経営する「わさだタウン」)の複合モールに人を取られたのか、いつも閑散としている。さらに商業地域から少しだけ離れた「市街地の外れ」に新しい美術館はある。低層の古びた建物が立ち並ぶ中に、窮屈そうに、少し場違いな感じで、オアシスと美術館が建っている。妙に違和感のある眺め。

便利な場所に美術館が欲しいと思っていたのに、いざできると立地に違和感を持つなんて、自分でも、わがまま(でしかも今や県民でもない)で勝手な感想だと思う。でも、いざミスマッチを目の前にすると、訪れるときは不便で仕方ないと思っていた青森県立美術館(駅からタクシーに乗らざるを得なかった)や霧島アートの森(鹿児島中心部から電車で2時間弱。しかも最寄駅との巡回バスの本数が少なく、タクシーを使うと数千円)の、何物にも邪魔されない、ただ緑の中に施設がぽんとある景観を思い出し、むしょうにうらやましくなってしまったのは事実。

便利さと景観の両立って、当たり前だけど難しい。

そして、こうして実際に見てみないと、なかなかその難しさは体感できない。

とはいえ、新美術館はとても楽しみで、中がどうなっているか、人と物が入った時にガラス張り部分の外観はどうなるのか、次回の帰省のお楽しみ。良い展示があるといいなー。