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メトロガール

あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?

4年、そして10ヶ月

東京にやってきて最初の部署で仕えた上司のうち一人が定年退職するからと、当時の仲間で飲み会を催したのは水曜日のこと。あの頃、わたしは二十代で、仕事の面では若輩で、東京のHQでの常識や働き方を何も知らない中で手探りの2年間を過ごしたのだった。

地方の初任地を泣きながら離れ、その後の2年間でも周囲にたっぷり情を移し、部署を離れる日には家に帰って泣いた。でも、あれから4年と10ヶ月、そういうセンチメンタリズムも初々しさも、なくしてしまった。わたしは今では人事異動くらいで泣いたりしない。それは繰り返されることだし、別に人間関係のおしまいなんかではないとわかっているから。

「貫禄出てきたね」と言われ、久々に飲む「係長」(今ではわたしが「係長」で、彼はもっと偉くなってしまっている)は、お酒の勢いで「本当に俺、申し訳ないと思ってたんだよね」と繰り返した。

わたしはあの頃、前任者の男性と比べ体力も経験も劣り、フォローばかりしてもらっていて、本当に係長に申し訳ないと思っていた。けれど今になって彼が言うには、女性の部下、しかも地方からやってきたばかりの部下を持つのははじめてで、彼は彼なりに気を遣いつつも、どう接していいのかわからず、悩み惑い、今も「十分に面倒見ることができなかった」と後悔しているのだ、と。

十分に良くしてもらってきたつもりでいたから、今になってそんな謝罪を受け、わたしだって困るし戸惑う。しかし当時の上司たちは、わたしが今も東京にとどまり、笑って仕事をしている姿を見るだけでも安心したと言うから、まあこれはこれでいいのかな。

東京にきて、3つ目の部署を、わたしは来月去る。

そしてほんのしばらくだけど、東京を離れることになる。