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メトロガール

あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?

憧れのアメリカン・モーテル

旅のはなし 映画のはなし

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2年近く前にアメリカ合衆国を訪れた際、現地の友人と3人でフロリダに行った。車を借りて、友人が順番に運転してくれた。ハイウェイといっても日本の高速道路をイメージしているとずいぶん趣が違って、場所によっては果物の直売所が出ているのには驚いた。

息をのむほど美しい湧水池で泳ぎ(※わたしは泳げないので、浮き輪にはまって流れていただけだが)、自然保護区域を歩いて目の前を横切るワニに仰天し、「クロコダイル」と「アリゲーター」の見分け方を覚えた。

一泊したフロリダの宿が素敵だった。なんてことない、ただの幹線道路沿いの安モーテルで、数十年前に台湾から移民してきたというおばあさん(70代とは思えないほど若々しい)がフロント番をしていた。わたしたちのうちひとりは台湾人だったので、親近感を持っていろいろと話をしてくれた。

低層で、壁が薄く、通路に面して窓が開いている。ベッドと簡易な洗面台とバスルームがあるだけで、「たまの海外旅行は豪勢に!」という感覚でいると、がっかりすること請け合いだ。

でも、わたしにはこれが憧れだった。

アメリカ映画で、よく見かけるモーテル。「ノーカントリー」でシュガーが襲ってきたようなモーテル。「シリアスマン」で家を追い出されたラリーが仮の住まいとしたようなモーテル。いざ思い出そうとするとなぜかコーエン兄弟の作品ばかり浮かんできてしまうが、いろいろな映画で、例えば犯罪を犯して逃げるとき、殺人鬼に追われて逃げるとき、カップルがひっそり逢瀬を重ねるとき、出てくるモーテルはこんな感じだった。普段わたしがするような、車を使わないひとり旅ではなかなかこういうところには泊まれない。だからこそ、いかにもアメリカ風のモーテルに泊まることができたこの日は、夢がかなった晩といっても過言ではなかった。

次は、アメリカに関するもうひとつの憧れである「南西部の何もない場所の一本道を車で走る」をやってみたい。まあ、映画だとたいていそういう場合、エンジントラブルで車が止まって、その後ろくなことにはならないんだけど。