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メトロガール

あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?

暴力のスイッチ、そして「逃げるが勝ち」ということ(1)

よしなし

はじめに

1ヶ月ほど前に、長らく暮らした部屋から引っ越した。

同じマンションの住人からの嫌がらせと暴力行為が原因だった。

10年近くも暮らしたそこは小さな低層マンションだったが、緑豊かな静かな場所にあり、スーパーマーケットや駅もほど近く、生活しやすい環境をとても気に入っていた。何もなければ、転勤等で必要に迫られるまで住み続けていたと思う。

しかし、わたしは急遽引っ越しを決め、それからわずか一週間でその部屋を去ることになった。安全な場所に引っ越してしまえば、あの数ヶ月(というか、本格的な危険を感じてからはわずか10日)はまるで夢のように思えるが、自分のすぐそばに自分に悪意を持っている者が生活していて、しかもわたしはそれが誰なのか知らない、というストレスフルな環境から受けたダメージは、比較的図太い神経の持ち主であるわたしにとっても小さくはなかったようで、離れた場所にやってきた今でも、ふとした物音にビクッとしたり、怖い夢を見て目を覚ましたりすることがある。

引っ越しにはお金も労力もかかった。今回の件に関して仕事を休んだり早退させてもらったりして、周囲にも迷惑をかけた。しかし、喉元過ぎてしまった今も、わたしの上司や同僚は、例えばご近所トラブルやストーカーによる傷害・殺人事件、また女性の一人暮らしを狙った強盗殺人(福岡の大橋で起きた事件は、窓を割っての侵入と聞いた時人ごとと思えずゾッとした)が報道されるたび「本当に、引っ越して良かったよ」と言ってくれる。

向けられる悪意や暴力は恐ろしい。

しかしそれは、当初から最大限の暴力性を持って襲ってくるものとは限らない。

ちょっとした嫌がらせが、少しずつエスカレートしてきた場合、どこがボーダーなのかがよくわからず対処が遅れることはよくあると思うし、実際わたしの場合も「郵便受けに不要チラシを毎日のように詰め込まれる」段階では、それがただの非常識ゆえの行為なのか、わたし自身への悪意に基づくものなのか判断できず、ことを荒立てたくない気持ちもあって家主への相談を怠った。あの段階で誰かに相談していれば、早々に誤解は解けて、引っ越しなどせずとも解決していたのかもしれない。一方で、あの段階でことを荒立てていたら、相手の「スイッチが入る」のが早まっていただけなのかもしれない。何もかもは結果論である。

あくまでわたしの場合だけれど、数ヶ月にわたったささやかな悪意は、ある日「暴力のスイッチ」が入ると同時にエスカレートした。逃げなくても、あれ以上なにも起こらなかったかもしれない。でも、逃げなければ、もっとひどい目に遭っていたかもしれない。

備忘も兼ねて、この件については書き残しておこうと思う。

 

(次のエントリーに続きます)