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メトロガール

あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?

暴力のスイッチ、そして「逃げるが勝ち」ということ(2)

(前のエントリーの続きです) 

 

元々の生活環境

わたしの中ではほぼ特定しているものの、結局嫌がらせの主を特定することも接触することもできなかったため、最終的に相手が何を不満に思い、何を目的にしていたのかはっきりわかったわけではない。ただ、状況から考えてわたしはこれは「騒音トラブル」だと確信している。

となると、そもそもわたしが騒音を出していたのではないか? 相手を暴力行為に走らせるだけの迷惑をかけていたのではないか? という疑問も生じる。なのでまず書いておきたいのが、わたしはこれまで通算17年間の1人暮らし生活の中一度も騒音を含む近隣トラブルの当事者になったことがない。今回の被害に遭った物件にもずいぶん長く暮らし(ちなみにマンション最古参)、壁や床を叩かれた経験含め一度も居住者同士での揉め事はなかった。

わたしは平日にはまず家で音楽も聴かないしテレビも観ない。仕事でどうしようもなく遅くなる日以外は異様に早寝だし、朝活動開始するのも7時過ぎと、決して早くはない。たまに家族や友人が泊まりに来ることはあっても我が家でパーティーを開いたり酒盛りをしたりということもない。それどころか、今回の一件が始まってからはより一層息を潜めるように音を立てずに生活していた(しかも終盤は旅行や出張で家にいないことも多かった)。なので、社会通念上容認できないような騒音をわたしが出していたということは、まずないと思っている。

真下の空室が埋まる。そして最初は「大量の不要チラシ」

1階はエントランスすぐ横にある、仮にそこを「1A号室」と呼ぶとするが、わたしの居室の真下に位置するそこが空室になっていることに気づいたのは、確か春も終わることだったか。マンションの前を通りがかったときに、道路からカーテンが取り去られ、がらんどうになった部屋が丸見えになっていた。

「あ、今、下の部屋空室なんだ」

その程度だった。1A号室は半月か、もう少し長い間空室だったろうか。気づいたらいつの間にかカーテンがかかっていた。いつ引っ越しがあったのかはわからない。真下の部屋を日常的に気にしているわけではないし、いまどき都内の単身用マンションで引っ越しの挨拶をする人もいないだろう。

それと同時だったような気もするし、もっと時間が経ってからだったような気もする。わたしは集合玄関の郵便受けに入っているポスティングチラシがやたら多いことに気づいた。オートロックの外側にある郵便受けに、デリバリーその他のチラシがポスティングされるのは日常的なことだが、どうもその量が多いのだ。平日はほぼ毎日郵便受けを開け、中身を取り出すようにしていたが、数日に一度やたら大量のチラシがぎっしりと詰まっている。しかも、ただ量が多いだけでなく、一部のチラシはわざわざぐしゃぐしゃに丸めてから詰め込んだ形跡がある。

部屋に戻って、チラシをよくよく見ると、同じものが2枚ずつある。1枚は普通の状態、1枚はぐしゃぐしゃに丸めた状態だ。同じマンションの誰かが、自分の郵便受けに投函された不要なポスティングを持ち帰るのが面倒で、手近にあったわたしの郵便受けに押し込んでいるのだろうか。そのマンションには集合玄関に不要チラシ用のゴミ箱は置かれていなかった。ただ無造作にチラシを投げ込むのでなく、わざわざ「ぐしゃぐしゃに丸める」一手間をかけていることが不気味でもあった。

意識し始めると、郵便受けを開くたび中の状態が気になる。実際その後も数日に一度は大量のぐしゃぐしゃに丸められたチラシが詰め込まれ続けた。ただ不愉快であるだけならともかく、ときに詰め込まれたチラシの奥で本来必要である郵便物が曲がってしまっている。しばらく経つ頃には、帰宅して郵便受けを開けるのがすっかり憂鬱になっていた。家主に相談しようかと真剣に思う日もあれば、「不要チラシくらい、捨ててやれば済むことだ」と割り切った気分になる日もあった。わたしはそもそも、特に対人面で極端に面倒を嫌う傾向があり、問い合わせや苦情の電話をかけるのが苦手だ。多少の不便や不具合については、人に訴えて解決する労力を嫌い、我慢してやり過ごしてしまう。なので、結果的には郵便受けのこの状態を数ヶ月ほども放置した。

放置しつつも、いつからかわたしは他室の郵便受けを注意深く観察するようになった。同じチラシ(区報のような大きな配布物は、郵便受けからはみ出しているのでわかる)が他室の郵便受けに入っているタイミング、それが消えるタイミングと、わたしの郵便受けに詰め込まれるタイミング。

数週間の観察の結果、「犯人はおそらく真下の部屋(=1A号室)の住人」だと確信した。そういえば、1A号室に新たな住人が住み始めて以降、不要チラシの詰め込み行為も始まったのだった。タイミング的にも整合する。

嫌だな、と思いつつ、やはりわたしは誰にも相談しなかった。何度か「わたしはあなたの嫌がらせに気づいていて、かつ不快だ」というメッセージを込めて、ぐしゃぐしゃになったチラシを自分の郵便受けから取り出して、集合玄関の床の隅に置いてみた。一度だけ勇気を出して、しわくちゃの区報を丁寧に伸ばしてから、1A号室の郵便受けに戻してみた。いずれも、数日以内に再びぐしゃぐしゃになったそれらはわたしの郵便受けに戻された。

なお、同時期に頼んでもいない新聞(某経済紙や某団体の機関紙)が配達されることが続いたが、これは単なる誤配なのか何らかの嫌がらせなのか、未だに判別がつかない。

 

(次のエントリーに続きます)